Industry
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出水市の産業



平成11年10月1日現在
産業分類事業所数従業者数
総数1,806 14,745
農林水産業19140
鉱業20
建設業1541,519
製造業1544,061
電気・ガス・熱供給・水道業71
運輸・通信業48984
卸売・小売業、飲食店8584,154
金融・保険業39372
不動産業3157
サービス業5513,365



 出水市の産業別、経営組織別事業所数及び従業者数
(統計いずみ 平成14年版より)


農林畜産業

田圃

 出水市は県内でも特に農業が盛んなところです。広い出水平野では、 米や野菜を中心にいろいろな種類の作物がつくられています。高台から平野を望むとたくさんの 田圃やビニールハウスなどの野菜畑が目に付くことでしょう。 また、山沿いの平地の少ないところでは、とくにみかん畑が盛んで、他には、 茶畑や養鶏、肉牛や乳牛の飼育なども見られます。
 西出水の大野原台地では苗木や植木の生産がさかんで、ここで生産された植木などは全国に送られています。



出水の米作り
 米は昔から日本人の主食で、ほとんどの人が毎日口にしています。  米作りは約二千年前、大陸から伝わってきました。それまで狩りと漁で食べ物を得ていた人々の生活が、1つの場所に定住して共同作業で米作りをする生活へと変わりました。また、日本各地で行われているお祭りは、米の豊作を祈ったり、収穫を喜んだりするものが多いようです。
そして、米はそのままたいて食べるだけでなく、餅をついたり、味噌や酒、酢の原料のほか、お菓子の原料にもなります。漬け物に使われるぬかも米からとれます。米は私達日本人の生活と切っても切れない深い関係にあるといえるでしょう。

米の生産状況
 出水市の生産状況を見ると、農林水産課の調べによると、農業に携わっている人が約二千九百人で、そのうちの半数以上が第2種兼業農家(他の仕事が主で農業が副業的になっている農家)になっています。米作りに携わっている人の数はだんだん少なくなり、高齢化が進んでいるようです。農家はこれからの農業を支えてくれる若い後継者を求めています。

 平成4年度の出水市の調べでは、出水市の米の作付面積は、861ヘクタールで、生産量が約4千トン、生産額が約12億円という状況です。
 最近では、肉やオレンジと同じように、米も外国から輸入されるようになり、日本米より安い外国米は主に酒、味噌、煎餅などの加工用に利用されます。そこで、米を作っている日本の農家は、消費者が望む品質の良い美味しい米を作ろうと色々な努力や工夫をしています。

美味しい米の生産
 市では、「味の良い米」「品質の良い米」を作るために、ヒノヒカリ、コシヒカリを中心とした生産を進めています。この品種は、美味しくて香りもよく、鹿児島県も生産を進めているものです。
 ヒノヒカリという品種は、ほかの品種と比べて味も良く、田植えから収穫するまでの期間が短いという利点があります。
 コシヒカリという品種は、暖かい気候を利用して4月初めに田植えをして、8月中旬には国内で最も早い新米として出荷されています。また、餅用のヒヨクモチという品種も生産されるなど、市の米は、消費者が望む美味しい品種を選んで生産されています。

アイガモを利用した米作り
 アイガモという鳥を利用した米作りも行われています。田植えの1か月後に、生後3週間前後のアイガモを放します。水田+アール当たり、約20羽のアイガモが田の中で泳ぎ回ります。
水田のアイガモは、水かきやクチバシで土壌をかき混ぜたり、草を食べたりします。このことで、草が生えにくくなり、根に刺激を与えることで茎の成長もよくなります。また、アイガモは害虫も食べてくれるので、除草の手間を省き、農薬をまく必要がなくなります。

アイガモはこれからの米作りにとって大切な「労力を抑え、安全な米の生産」に役立っているということです。市ではアイガモを使った米作りと、農薬を使った米作りとでの収穫量を比較したところ、ほとんど変わらないことがわかりました。
しかし、アイガモを使った米作りでは田の中のアイガモを野犬などから守る為、田の周りに電流が流れる針金と網を張り巡らせるなどの工夫をしています。
この経費の一部は、市が補助しています。

安全な米を作るための工夫と労力・経費削減の工夫
 最近では、安全性の高い食べ物が注目される中、市の大平地区や軸谷地区、丸塚地区では減農薬米の生産が行われています。
減農薬米とは、害虫の防除に使う農薬を少なくして作る米のことで、同じ地区の人が農薬をまく時期を一緒して、害虫に一番きく時期を考えまき、農薬をまく回数を少なくすることです。
このことでまく回数は少なくなり、肥料も化学肥料から堆肥を使うことで安全性を高くすることができるようになりました。

 米を収穫するまでには、長い時間がかかり、育苗、病害虫や雑草への対策などに大きな労力や経費がかかります。
そのため労力や経費削減の工夫がされています。ミスト機やヘリコプターで種をまき、育苗や田植えの手間を省き、労力の抑えています。
農薬の散布も大型機械を使い、人手もかからず、短時間で済むようになりました。このようにするためには、土地を広い区画に広げ、耕地面積を規模拡大することが必要になります。

出水の植木

 大野原は、造園業の家が多く、植木や苗木をつくっています。また、植木市場もあります。私達が目にすることが出来る美しい植木には、長い歴史があります。下大野原の大野原・石崎線の道路そばに「出水苗木発祥の地」という碑が立っています。それによると、明治35年に、前田次郎助・古賀新三郎 等の人々によって、初めて苗木栽培が始められたことが記されており、今は植木栽培が盛んですが、最初は苗木栽培から始まったことがわかります。

苗木

 大野原を歩いてみると、広い畑を利用して、スギ・ヒノキ・マツの木の苗を育てているところを見ることが出来ます。山に植える苗木を育てていることでは、九州一を誇っているのです。また、庭園用のラカンマキやつつじ等の苗も育てています。

植木

 植木は、緑化樹、庭園樹にわけることができます。植えてある種類も豊富で、代表的な種類はイヌマキ、ラカンマキ、クス、ヤマモモ、サツキ、ツツジ、ヨシノザクラ、ホルト、ツバキ、マツ、ウメ、モチノキ、キンモクセイなどがあります。その他、種類はたくさんあります。また、大きさも、一年物から成木までそろえ、様々な要望にこたえられるようにしています。

出荷の工夫

 二の付く日にゴルフ場そばの植木市場へ行ってみると、威勢のいい”せり”の声が聞こえます。植木市場は県内外から訪れるます。植木組合では、毎月3回植木市場を開き、出荷が容易に出来るようにしています。6月から9月までは、木を植え替えるのに適していないので開いていません。植木市場の取引額は約2億円にもなります。また、栽培者の個人的な取引でも、全国各地に出水植木として送り出しています。

出水植木の特長

 出水の植木生産は、福岡県の田主丸と並んで九州の植木産地の主産地にあげられています。鹿児島県でも、盛んなところとして鹿屋がありますが、出水の植木は個人経営になっているところが特長です。
そのため、手入れが良く行き届き、品質が高いので有名です。植木を栽培している人は、全国に有名になっている出水植木を、ますます盛んにするよう新しい植木の種類を増やしたり、植木の形を工夫する等しています。

養鶏

 出水市には多くの養鶏農家があり、たまごや鶏肉の生産が盛んです。たまごや鶏肉はそのまま各地へ送られるものもありますが、地元の企業で様々な製品に加工されて全国に送らるものもあります。
地元の養鶏農家とともに発展してきた食品加工会社は出水市とその周辺地域で重要な産業に育ち、運送業など関連のものも含めると出水の産業を語るに欠かせない存在になっています。
上場高原の畜産

 畜産の盛んな上場地区
 上場高原は畜産が有名で、ここの人たちは太平洋戦争が終わってから移住した人が多く、荒地を開墾して牛などを飼い始めるようになったそうです。ここでの仕事は牛についていえば、肥育・生産・酪農の三つに分けられます。
肥育は子牛を買ってきて育てた後、肉用牛として売る仕事です。生産は親牛を飼って子牛を産ませ、しばらくの間育ててから売る仕事です。酪農は乳牛から乳を搾り、それを売る仕事です。この他、豚やニワトリを育てる仕事をしている家もあります。

 牛の肥育の仕事
 牛の肥育農家の仕事は毎日、牛舎の掃除をしたり、餌を与えたりします。餌は朝夕二回与え、与えるときには、資料とわらを混ぜて与えます。飼料タンクの中にまとめて入れてあり、取り出しやすいようになっています。餌になるものは、このほか牧草を乾かした干草もあります。

 牛舎のとなりの倉庫には、多くのわらが積んであり、牛の餌になるわらは、米を作っている農家から買い集めます。毎年、10月から11月にかけて一年間に必要なわらを集めるので、この時期が一番忙しくなります。
ある牧場では、約250頭の牛を飼っているので約1万ばのわらが必要になるそうで、多くのわらを集めることが出来るかどうかが一番心配なことだそうです。

 朝夕の餌やりの間、どんな仕事をしているかというと、まず、牛舎の横に牛を出し、次に機械を使って糞を運びます。それからきれいになった牛舎の中に、のこくずを運び入れ、始末した糞は堆肥にします。堆肥は牧草の肥料にする他、他の農家にも売っています。

 1人で多くの牛を飼うことが出来るように大型機械を使ったり、仕事を無人化したりすることにより、仕事が能率よく行われるよう工夫されています。また、肉用牛を高く売るためには、肉質の良い牛を生産しなければならず、そのためには、日常の飼育管理が重要になります。飼料やわらなどは大部分購入していますが、自分達で質の良い牧草を育て、少しでも経費節減に努めています。

 酪農の仕事
 酪農農家でも牛の餌やりは欠かせません。牛舎には搾乳の設備があり、搾乳は自動的に行われます。搾乳が終わった牛は、通路を通って外に出ます。搾乳の機械を取り付けるだけで、多くの牛の搾乳が出来るので人手はいりません。ここでも、仕事が機械化され、能率よく行う工夫がされていました。

 搾乳された牛乳は、管を通り、牛乳タンクに自動的に運ばれていきます。牛乳はこのタンクの中まで空気に触れることは無く、また、常に一定の温度で冷やされているので、絞りたての状態を保つことが出来るそうです。さらに、このタンクは、自動的にタンクの中を掃除してきれいにできる装置もついているそうです。新鮮なおいしい牛乳を届けるために、このような工夫がされています。

 タンクに集められた牛乳は一日おきに、牛乳業者が集めに来ます。タンクにホースをつなぐだけで自動的に車に移され、短い時間でタンクの中は空っぽになります。集められた牛乳は加工され、学校給食や家庭で飲まれているのです。出来た牛乳は県内だけでなく、名古屋や岡山など県外へも出されています。また、牛乳を加工してバター、チーズ、ヨーグルト等の乳製品も作られています。


 畜産農家の人々の願い
 上場地区の畜産農家の人々が仕事についての願いや苦労について次のように話しています。

肥育農家
 私達の仕事が、みんなの食生活を支えていることが誇りです。最近は外国から安い牛肉が輸入されるので、なかなか大変です。輸入肉に負けない美味しい牛肉を作る工夫をしていかなければなりません。子供達も農業の大切さにもっと目を向けてほしいものです。

酪農農家
 この頃は、色々な種類の飲み物が売り出されているので、それらに負けない美味しい牛乳を作っています。牛乳は栄養があり、成長に欠かせない飲み物だと思っています。多くの子供達に飲んで欲しいですね。牛を放牧したり、新しい機械を入れたりしながら、より美味しい栄養のある牛乳にしていきたいものです。


みかん
みかん

 米ノ津や切通地区では、日当たりのよい山の斜面を利用したみかん作りが盛んです。この辺りは、水はけがよく養分を含んだ目の粗い土で、不知火海から暖かい潮風が吹き上げ、また日照時間が長く、霜があまり降りないので、みかん作りに適した気候といえます。
 出水のみかんは味がよいことで有名で、みかんが色づく頃になると全国へ送り出されてゆきます。この地区はJRと国道が平行しており、県内外の大都市市場へも、鉄道やトラックを利用して一昼夜以内で輸送できるそうです。この事は、市場拡大にとても大きな利点といえます。
 農家の人達は、木の剪定・水・肥料の与え方など色々な工夫をこらし、より美味しいみかんを作ろうと努力し、消費者の好みに合ったみかん作りを心がけています。その他に、ビニールハウスを利用してほかの地域より早く出荷したりする工夫もされています。
こうして育てられたおいしいみかんは出水の特産物のひとつになっています



みかんの生産状況

 市の農地の約三割は「樹園地」として利用され、その大部分はみかんの栽培です。出水では多くの品種が作られており、中でも早生温州は全体の約六割を占め、平成三年度は生産量約5,700d、生産額は約19億7千万円と、みかん生産の中心と言えます。
様々な品種を栽培することにより、7月のハウス温州みかんに始まり、5月の甘夏まで、約1年間を通して出荷することができます。年末・年始の頃のポンカンは、県内外への贈り物としてよく売れるので、この時期にあわせた栽培への工夫がなされています。
また、極早生やハウスみかんは、静岡や和歌山など他のみかん産地に比べ二週間ほど早く出荷でき、京阪神や北九州の市場で高値で売ることが出来るそうです。

みかんができるまで

 みかんの収穫期を迎えるまでの、年間を通しての作業を早生温州を例にしてみてみましょう。

T 土作り

 前年の収穫が終わった1・2月には、早速土作りが始まります。石灰をまいたり堆肥等を与えたりして、養分のあるよい土を作ります。

U 剪定

 美味しいみかんを作るには日照を良くすることが大切です。1本の木でも上部・中・下枝のあたりと枝や葉のつき方が違います。また、木の混み具合や畑の場所によっても違いが出ます。そこで、1本の木に満遍なく日が入るように、葉や花のつき方を見ながら剪定をするのです。

V 薬剤散布

 病気や害虫・カビ等を防ぎ、木を健康な状態に保つために、3月から収穫するまで、その家庭にあわせて薬をまきます。

W 摘果

 葉20〜30枚に1個位の割合で実を残し、後は取り除く作業をします。大きく、形・味のよいみかんにするために、7月、8月の暑い時期のこの仕事はとても大切なのです。木や果実の状態を実ながら収穫前まで繰り返されます。

X 散水

 梅雨があけ夏になると水の管理も大変です。木の回りに2・3ヵ所の穴を掘り水を注いだり、スプリンクラーを使ってみかん園全体に水をまいたりと方法は様々です。
また、夏の日照りで土が乾燥し易いので、稲やわらや刈り草などを敷いて乾燥を防ぐこともします。

Y 収穫

 一つ一つ丁寧に収穫するので、とても人手の要る仕事です。この時期は家族はもちろんのこと、よそからも手伝いをもらって収穫する農家も少なくありません。
傾斜地では「モノレール」を使って、コンテナにみかんをいれて運びます。モノレールの利用により、一度にコンテナ10個を運ぶことが出来るようになり、以前に比べて労力を軽減することができるようになりました。

Z 選果

 みかん園で収穫されたみかんは、それぞれの選果場に集められ、大きさ・形・色艶・傷の有無などによって「秀・優・良」の等級と、3L〜2Sの大きさの等級に分けられ、箱詰めされます。みかんの等級を分けるには機械を使い、一度にたくさんのみかんを分けることが出来ます。

[ 販売

 各出荷団体から出されたみかんは、卸売市場のセリにかけられ、ここで初めてみかんに値段がつけられるのです。最近では大手スーパーとの取引も多く、それだけに量・品質をそろえることがますます重要になってきたそうです。
この他、無人販売所を設置したり、宅配便として直接全国の消費者へ届けたりと、販売の形も色々な工夫がなされています。

みかんを作る人々の願い

 以上のような栽培農家や各団体の人々の工夫によって、出水はみかんの産地として実績を重ねてきたのです。
みかん農家の願い

 みかん作りは自然が相手ですから、一年間を通して、気候に合わせ木の健康状態や生長ぶりに、いつも気を配っていなければなりません。
けれども、満足のいく質の良いみかんができ、それがまた高値で取引された時は、実にうれしいものです。
日本には静岡や和歌山、愛媛と多くのみかんの産地があり、また、外国のオレンジが安く輸入され、生産者としては大変です。
これから先私達は、新しい品種を研究したり、ブランド商品化して売り出したりして、消費者に喜ばれる良いみかんを作っていきたいと思っています。
甘くておいしい出水のみかんを、全国の人に味わって欲しいです。




商工業


商業

 出水市の商業活動は、近年まで出水地区商店街、米ノ津地区商店街、西出水地区商店街の3つの 商店街を中心に営まれてきましたが、現在の市における商業の発展は市外から進出してきた企業に 支えられていると言っても過言ではありません。大型店舗やチェーン店組織をもつ企業の進出は 当たり前となった今日ですが、出水市でも国道328号線の沖田付近を中心に新店舗の進出が 目覚しく、年々その様子を変えています。

 一方、長年市内で商業を営んできた商店街などの地元小売店は、進出した店などと生き残りを かけた競争が厳しく、昔は商店街以外の市内各所に点在していた小売店などは、ここ10数年の 間に随分少なくなったようです。

 また、現在は進出してきた企業にとっても、新店舗がすぐに閉店するなど淘汰が激しい のが現状で、今後の出水市における商業の発展は、やはり需要に直結する人口の増減が大きく関わると言える でしょう。その為には他産業と合わせた市全体の発展を望まなければならないようです。


工業

工業団地
沖田工業団地

 平成10年度の統計いずみによると、工業に関わる仕事をしている人は約6,300人です。 中心となっている地区は、松尾や沖田の工業団地等で、ここに工場が集まる理由としては、 土地が広く道路が整備され大型の車も走りやすく、製品等が運びやすいからと思われます。 その他に、周りに家が少なく騒音や公害等で迷惑をかけることが少ないことも理由としてあげられる でしょう。

市内の各工場で作られているものは、食料品・コンピュータ部品・自動車部品・衣類・ 電気関係部品等、色々なものが作られています。
市内で作られた製品は、全国各地に送られますが 中には海外へ送られるものもあります。これらの工場は市の誘致活動により進出してきたものも ありますが、今後も市民の働く場所を増やし市の発展に結びつける為にも、工場地帯を取り巻く 環境の整備が求められるところです。

 21世紀には九州新幹線や、南九州西回り自動車道等交通面が整備され、物流の拠点として 発展を期待される出水市ですが、恵まれた平野や豊富な水等を利用し、地場産業、誘致企業とも 更なる発展が期待できると言えるでしょう。


水産業

 出水市で漁業を営んでいる人は約250人ほどで、ほとんどの人が近海で漁をしています。 名護の市場には、エビ・貝の他にマダイ・ヒラメ・ハモ等の高級魚も水揚げされます。 水揚げされたものは、出水市内や近くの町で売られますがトラックや飛行機などの輸送機関を 使用し、東京や大阪などの市場へ送られるものもあるようです。

 水産業に携わっている人達は、魚を捕るだけではなく水産業の振興を図るために漁港の整備や 人工漁礁の設置、大規模増殖場での車えびの中間育成、ヒラメ、ガザミ、マダイ等の放流を実施して、 つくり育てる漁業を推進し漁業の保護と海産物の安定供給に努力しているようです。


クルマエビ・クマエビ漁

 出水市北西に広がる八代海では、10月中旬から白い帆を張ったケタ打瀬船の姿が見られます。 この船はエビ漁専用の船で300年の歴史があります。漁法としては、海の底を網で曳きながら 漁をする「底曳網漁法」で行われ、昔から変わらずこの方法で行われています。
動力に頼らず漁をするのは、乱獲を防ぐための漁民同士の掟で、今の時代でもそれは忠実に守られています。また、この漁を行っている人達は、捕るだけではなく稚エビを育てて海に放すという工夫もしています。

 ケタ打瀬網船で捕れたクルマエビは焼きエビに加工され、おもに正月用として全国に送り出される 出水自慢の特産品です。

漁業の歴史

 出水市の漁場は、八代海の南部を中心とし、海岸線が18.8キロにも及び、遠浅で椀のようになった海です。この海は、県内最大のクルマエビ漁の産地なのです。昔から、クルマエビの産地でしたが、福ノ江湾沖が干拓されたために、それまで20〜46トンもあった生産量が約7トンにまで減ってしまいました。もともとクルマエビは、周囲の敵から身を守り魚の餌になることを防ぐために、海底の砂地にもぐる習性があります。ところが、近年砂地が減少し、生息するための環境が悪くなってしまいました。
そこで、クルマエビの住める環境を整え、また稚エビを育てる必要がでてきたのです。それが昭和44年頃のことです。最初は、「文字網」と呼ばれる目の細かい網で砂地を囲み、その中で稚エビを育てていました。ところが、この文字網は、台風などに弱いという欠点があったので、昭和63年度に二重構造の中間育成施設を作りました。
中間育成施設で育てられたエビは、大きくなると海に放流されます。放流される場所は福ノ江港の沖合いで夕方、大人の膝下ぐらいの深さのあたりで行われています。深いところだと、砂に潜る前に魚の餌になってしまうからです。

漁の方法

クルマエビの方法には、さし網・流し網・けた打たせ網漁などがあります。3月から9月頃の漁は、さし網や流し網です。ところが、10月から2月までの間は、クルマエビは、砂地にもぐり冬眠してしまうという習慣があります。
そこで、冬眠しているエビを起こしながら採る漁、つまり、けた打たせ網漁が行われるわけです。本来、けた打たせ網漁は焼エビにするクマエビ漁として行われていました。しかし、クマエビ漁獲量が減少している現在、クルマエビ漁として多く利用されています。
今後の漁業(出水市漁業協同組合員の声)

 今一番の問題は、漁業をしている人達の高年齢化ですね。おまけに後継者不足です。でも、漁協では、大きな船や小さな船の漁場を指定したり、天然でとれない漁については、稚魚を放流しながら漁をしたりする、いわゆる「つくり育てる漁業」及び漁業規制といった管理型漁業をめざし、安定した水揚げができるように努力しています。
今は、秋から冬にかけての出水の風物詩となっている「けた打たせ網漁」は、一日2回の漁が行われています。自然の中でいつまでも、風情を残して欲しいものです。


のり
のり養殖

 米ノ津付近の海は、海苔の生産では日本の南限に位置し、遠浅のため海苔の養殖には 最適と言われています。出水の海苔は品質が良いのが有名で、平成10年度の生産額は 約1億5千万円にも及びます。

 それでも海苔の生産額は昔に比べて減っていて、年々減少する傾向にあるようです。 養殖に使用する機械の値段が高いことや後継者問題などが原因ですが、かつて福の江 海岸一帯にたくさんみられた海苔取りが最近は少なくなったのは寂しいかぎりです。

 のりは、海水の流れや水質、気候等いろいろな自然条件がそろっていないと育ちません。また、自然条件によって味や舌触りの違うのりが出来ます。ですから、他の生産地と同じ味ののりはできないわけです。出水で生産しているのりは「出水アサクサノリ」と呼ばれ、なめらかで光沢があり他の生産地から羨ましがられるような品質です。出水の海水と気候からできるこののりを、生産者は誇りに思っています。


1 のりの養殖の一年

 養殖は、海水の濃さや水温、潮の干満、気温など、多くの自然条件を観察しながら作業に適した日を選んでします。

@ 果胞子付け

 果胞子とは、のりだねのことです。二月にのりだねをカキ殻に植え付けます。カキ殻の中でのりの細胞は大きくなります。十月の網を張る2、3日前まで室内の水槽にカキ殻をつけておいてのりの細胞を育てます。出水市漁協では近年、この作業を熊本の業者に頼んでいます。

A 準備

 九月頃から、準備を始めます。漁期を目前に、忙しい毎日が始まります。
◎地割り・・網を張る漁場を、くじ引きで決めます。
◎浮竹・・浮竹というのは、カキ殻をつけたり網を海水に浮かせたりするために網につける竹のことです。カキ殻を入れるビニール袋(落下傘)を取り付けます。
◎くい打ち・・養殖漁場に網を張るためのくいを打ち込みます。
◎網の修繕・・これらの仕事が終わる頃の、海水や気温などの条件が整いそうな日を予想し、網を張る日を決めます。網を張る2、3日前に、業者からカキ殻を受け取り、用意しておいた落下傘にいれます。
すべて人の手で行われています。
◎のり網の準備・・落下傘のカキ殻を入れ、用意していた網と浮竹をつけた網24枚をひとまとめにします。

B 網を張る

◎採苗(網を張ること)・・舟に網を積み、漁場へもっていきます。海中に入って網を広げ、くいに結びます。
◎検鏡・・採苗の2、3日日あとに網の一部を切り取り、のりの胞子の付き具合を顕微鏡で見ます。付き具合が良いときに落下傘をはずします。浮竹はつけたままにします。のりが生長する間は、のりの生長を害するソウ類やごみをとるために、ポンプ機を使って網を洗います。のりの生長が目で見えるようになるまで毎日続けます。

C 網の小分け・冷凍

 のりが生長してきたら、24枚重ねていた網を分けていきます。これを小分けといいます。また、網の何割かは、冷凍しておき後半の漁期で使います。病害が発生したり、作柄が悪かったりしたときの対策にもなります。この技術のおかげで生産量の「0」ということはなくなりました。

D 摘採

 のりの摘み取りをします。12月までに、2回ほどできます。摘んだのりは、各生産者の家ですぐに加工し、製品にしていきます。防水着を着て海中から、機械を操作します。生長したのりがたくさん網に付いています。
摘採が終わると、網をはずし、養殖場をしばらくの間空けておきます。1月は冷凍網を張ります。後半の漁期の始まりです。2月には次の漁期のためののりだねを用意し、業者へ持って行きます。そして、果胞子付けが行われます。後半の漁期は3月までです。摘採が終わると網をはずし、後片付けをします。くいを抜き、網を干して漁期は終わります。


2 生産者の苦労や工夫

@ のりの加工は自分達の手で

のりは摘み取ってすぐ新鮮なうちに加工します。福ノ江港の生産者は、自分の機械で加工して製品に仕上げていきます。そのため、光沢があり香りも良いおいしいのりを作ることができるのです。しかし、のりが製品になるまでには、いくつかの機械が必要である上に、価格も決して安いとは言えません。
また、のりの乾燥に使うまきすや、養殖用ののり網は数年ごとに交換しなくてはいけません。他にも養殖に使う機械や道具は多く、経費をいかに下げるかが悩みの1つとなっています。

A 北風に負けず

 米ノ津は、年間通して北風が強い地域です。特に冬の北風は強く、養殖の作業に影響があります。県外の生産地の多くは、小船に乗って作業をしています。しかし、北風のため舟が転覆する恐れがあるので舟は使えません。防水着を着て首まで水につかって作業します。漁期は冬ですのでつらく感じる時もありますが、質の良いのりを作るためにがんばって作業しています。


3 養殖に携わる人々

福ノ江港の生産者の声

 冬の海は冷たく、北風がつらく感じる時もあります。潮の干満にあわせて仕事をするので労働や食事の時間が不規則になりがちです。働く苦労よりも、不規則な労働時間のため、子供達と食事をしたりゆっくり話をしたりする時間がとれないのが残念に思います。けれども良質ののりがてきて高い評価を受け、市場で高い価格での取引がなされたときはとてもうれしいです。出水の自然からできる高品質の「出水アサクサノリ」を作っていることを誇りに思っています。

 自然に恵まれた遠浅の海と人が力を合わせて行うのりの養殖は、すばらしい仕事です。これからもこのきれいな海と恵まれた自然環境を守り、「出水ののり養殖」を大切にしていきたいものです。


アユ漁

 内水面漁業としては、米ノ津川のアユ漁が盛んですが、他にコイ、ウナギ、フナ等の稚魚の 放流も行っています。
 親水護岸整備が進む米ノ津川のアユ漁は6月の第1日曜日が解禁日で、漁業としてばかりではなく一般の人々も多く参加する出水の行事のひとつになっています。


林業

出水市の林業
 私達と森林は昔から、深いつながりがあり、人間は様々な恵みを受けてきました。それは現在も変わらず、私達の身の回りを見渡すと森林から作り出された木材が、形を変え文房具、家具、家の柱、紙などの製品として役立っています。また、森林は、その特質を生かして防風林や砂防林、防雪林、森林浴の森などとして役立っています。そして、もっと大切なことは、雨水を吸収して水資源を守り、洪水を防ぐ国土保全の役割もしています。

 出水市の面積は、22,858ヘクタールあり、その72パーセントが森林です。森林は大きく国有林と民有林に分けられ、国有林は出水営林署が、民有林は県・市・各個人の森林所有者が管理しています。出水市の人口は平成6年現在約4万人で、その中の約480人ほどの人たちが林業の仕事をしています。木材として主に利用される木はスギやヒノキで、その木が切り出されるまでに次のような仕事があります。

@ 苗木の植付け
 小さな苗木を山に一本一本植えていきます。スギやヒノキは1ヘクタールあたり、三千本から三千五百本植えます。
A 下刈り
 苗木を植えてから5,6年間は、生えてくる雑草を刈り、そのままにしておくと、苗木が雑草に負け、枯れてしまいます。
B 除伐
 5、6年経つと、苗木は雑草よりも大きくなり、下刈りはしなくても済みます。しかし、ツタやフジ、クズなどのツルが幹に巻きついてしまうので、それを切ったり植え付けた以外の木を切り倒したりして、苗木が良く伸びるようにします。
C 枝打ち
 スギやヒノキが大きくなるに従って、フシのない木を作るため、下枝を切り落とします。
D 間伐
 小さな苗木も15年以上になると、伸びた枝は、となりに植えた木の枝と重なり合い、太陽の光が差し込まなくなります。そのままにしておくと暗い森の中では害虫が発生しやすくなり、病気にもかかりやすくなります。そこで、枝打ちのほか成長の悪い木やくねくね曲がった木などを切り倒す間伐を行います。間伐は2、3回行い、間伐された木は小さいなりに木材として利用します。
E 伐採
 50年ほどの年月が過ぎると木材として利用するために切り倒されます。昔は、斧やのこぎりで切り倒していましたが、今ではチェンソーで切り倒すので効率的です。
F 集材
 切り倒された木は用途に応じて運びやすいように長さを切りそろえて切り丸太などにします。丸太は、作業道(軽トラックなどが通れる程の林道)までワイヤーロープを空中にはり、吊るして運びます。丸太は山土場(大きなトラックに積み替える場所)へ運び、トラックが木材市場や製材所まで運びます。昔は、馬や牛に引かせて道路まで運んだり、丸太をいかだに組んで川に流したりして運んでいました。

 このように、1本の木が切り出されるまでには、約50年もの長い年月がかかり、様々な手入れが行われるのです。30数年前までは、山奥で木を植えたり、手入れをしたり、切り出しをしたりするために山小屋を建てて、何十日も家を離れて仕事をすることもありました。なぜなら、山の中に車の通れる道が無かったためで、今では山奥まで林道ができ、大変便利になりました。今も林道をつくる工事が行われています。

木の良さとは?
 日本では6千年以上も前の遺跡から木で作った農具が発見されています。また、人々の住居や法隆寺五重塔などの建築物ばかりでなく、文字を書く木札、水を飲むためのひしゃく、まな板など木は昔から私達の生活には欠かせないものでした。今は、山から切り出された丸太は製材所で製品として加工され、それを用いて建築材や家具、体育館の床など広く役立っています。
では、木材のよさは何でしょうか。それは、木目や色などの美しさ、肌触りのやわらかさ、コンクリートなどに比べて軽くて強く、適度に切ったり削ったり曲げたり出来る加工のしやすさの他、家の中の湿度が高い時は湿気を吸い取り、低いときは湿気を出す性質の良さなどにあります。また、木を切った後は、苗を植えて再生することが出来、腐れば土にかえる環境にやさしい資源だという良さもあります。

森林をつくる
林業を仕事としている人の話

「林業の仕事は、長い年月をかけて木を育てていくものです。昔は、人の力でする仕事が多かったのですが、今は機械を使ってするのでとても楽になりました。」
「私達の育てた木がみなさんの生活の中で、木製品として役立っていることはとてもうれしいことです。大いに木のよさを知って、親しんで欲しいです。」

「森林を育てることは、水を守り、洪水を防ぎ、空気をきれいにするということになり、地球を未来に残すことにもつながるのです。今は、林業の仕事をする若者が少ないので、もっとたくさんの若者に働いてもらいたいです。」

これからの林業
 最近森林は、木材を作り出す場としてだけでなく、ハイキング、バードウォッチング、アスレチック、キャンプなどの楽しみの場となり、森林浴や健康づくりの場として人々に利用されるようになってきました。
 森林を守り育てる林業は、私達の生活に必要な木材の生産、空気の浄化、水資源の確保、国土保全のほか、人間の生活に潤いを与えるための大切な仕事の1つです。そして、もっと市民が林業に関心を持って、木々を大切に育て、自然の保護に協力するようにならなければなりません。


参考資料

統計いずみ 平成14年度版
出水の自然を生かした産業(出水市教育委員会・教材開発委員会)